則岡醤油醸造元

ページ番号1001147  更新日 令和1年10月1日

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「一人でも多くの人にこの味を伝えたい」 5代目の想いとは…

3月は醤油造りのスタートの時期。大豆を蒸し、小麦を炒るところからそれは始まる。

そう話してくれたのは、5代目 則岡新吾氏である。

和歌山県有田市。言わずと知れたみかんの一大産地に、則岡醤油醸造元はある。

創業は明治40年。初代の則岡新助氏がこの地に蔵を構え、2つの瓶で醤油造りを始めたのが最初だ。

写真:醤油造り用の大きな瓶
最初に初代新助氏が醤油造りを始めた2つの瓶

写真:醸造用の大豆
使う大豆はその年の一番良い大豆を選んで使用する

写真:レンガ作りの炒り炒り器と金属製の大きな蒸し器
大豆の蒸し器(手前)と小麦の炒り器(奥)

春に始まる醤油の仕込みは、大豆と小麦を熱した後、次の段階へと移る。

蒸された大豆と炒られた小麦は、麹菌と混ぜられ「室(むろ)」と呼ばれる部屋に運ばれ、そこで4日間寝かされる。

麹菌を繁殖をさせるためである。

写真:「室(むろ)」の様子
菌の繁殖を促進させる「室(むろ)」

4日間寝かされたものは「醤油麹」と呼ばれ、有田市の豊富な地下水を利用した塩水と混ぜられ樽へと入れられる。

この麹が樽の中で仕込まれたものが「諸味(もろみ)」で、その後仕込み樽へと移され定期的にかき混ぜて空気と触れ合わせることで発酵を促進させる。諸味は仕込み樽の中で2から3年の期間をかけてじっくりと発酵が進んでいく。

写真:諸味
樽に入れられた諸味 仕込まれて2週間程の状態

写真:仕込み用の大きな樽
仕込み樽

その後、充分に熟成した諸味は布袋に詰められて絞りにかけられる。
この時に絞られた醤油が「生醤油」と呼ばれる。

写真:木枠の圧搾器
絞るための圧搾器

生醤油は釜で炊き上げ、タンクに入れて清澄させた後にビン詰めされる。

写真:釜の様子
生醤油を炊き上げる釜

写真:贈答用箱入りの醤油、ポン酢など
作られた醤油はだし醤油やポン酢にも加工される

則岡醤油醸造元で造られた醤油は、地元の一般家庭だけでなく、京都や大阪の料理屋でも愛されている。

その店の開店当時からずっと則岡の醤油を使い続けてくれているお店もある程だ。

しかし、昨今の核家族化や共働き家庭の増加などにより料理を作る機会が減り、醤油の消費量が減っていると新吾氏は嘆く。

だからこそ、「この和歌山が発祥である醤油の素晴らしさを改めて知って欲しい。そして、初代から受け継いできた職人魂を込めてつくった自分の醤油を、一人でも多くの方に食べてもらいたい!」則岡氏は力強くそう語った。

もう一つ、則岡氏は嬉しそうに語ってくれた。

「もう6代目は決まっているよ」

平成28年、息子さんが新吾氏の跡を継ぐために、実家に帰ってきたとのことだ。

まだ新吾氏も若いので、6代目が活躍するのはまだまだ先のことだが、新吾氏が4代目の背中を見てその職人魂を学んだように、6代目も新吾氏の背中を見て多くのことを学ぶだろう。

新しいものばかりが好まれる今の時代に、100年前から先代の想いを脈々と受け継ぎ続ける人たちがこの有田市にいることが、非常に誇らしく感じた。

写真:5代目と6代目
5代目と6代目のツーショット

写真:店舗外観
則岡醤油は蔵以外でも国道沿いの店舗でも購入できる

写真:商品が並ぶ店舗内の様子

電話
0737-88-8016
住所
和歌山県有田市糸我町西535-12
営業時間
10時00分-18時00分
定休日
月曜日

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